アートグレイスでのイベントも終盤を迎える頃、携帯電話がひっきりなしに鳴る。イニシャルSだ。
もともと会社の上司だったイニシャルT氏が、東京からケーブルテレビショーのために出張をしていることを受け、イニシャルSをはじめ数名で呑んでいるのだ。そこへ、合流しないかという誘いなのだ。
・・いや、正確には「ヘルプ」かもしれない。
イニシャルT氏とイニシャルSが一緒に酒を呑むと歯止めが聞かなくなる。これまでの武勇伝は数知れない。
イニシャルT氏曰く「この店行くぞ!」
イニシャルS曰く「何言うてますのん。この店ぼったくりですやん!前にえらい目あいましたやん!」
こんなやり取りをしているのに、二人で仲良く店に入っていくのだ。
イニシャルSからひっきりなしに電話がかかってくるのは、イニシャルT氏がすでに壊れているからだった。
最初は「まだかかる?もうすぐこれそう?」なんて普通を装っていたが、途中から「ごめん、助けてくれ。もうフォローできん。お願いします。早く来てください」ときた。
とても、ディナーパーティの後に向かう場所じゃないし、明らかに状況は最悪。そこに身を投じようというのだから、サラリーマンも辛い。
それでも、22時頃にはメンバーと合流できた。梅田にあるイニシャルT氏行きつけのラウンジだが、もう身内がやかましくて、しらふの自分としては、他人の振りをしてカウンターに座りたかったぞ。
ま、それでもとりあえずそれなりに呑んだわけだが、帰り際が爆笑だった。
イニシャルT氏から「じゃあ、そろそろ帰りますか」を合図に席を立ち、イニシャルSとC級呑兵衛が先に出ようとした。
そのときに、店からイニシャルT氏に金額を書いた紙が渡された。その金額を見た瞬間に、イニシャルT氏の顔が変わる。
イニシャルT氏「あっ・・、あ、やば。あっ、ちょ、ちょっと待って」。イニシャルT氏と同じ会社のイニシャルT(大阪勤務)氏に向かって、「あ、あの助けて。何とかならん?」。
その状況を知らない先に店を出たイニシャルSは、C級呑兵衛に向かって、
「はよ、はよ行くで」。
だが、イニシャルT氏の血相変えてる状態を説明すると、イニシャルSは、
「おい!はよ降りてこい!そんな所で止まるな!早くタクシーに乗れ!」。そして、その後に「急げ!」とまで言った。
C級呑兵衛は、この状況下でどうしたか。
気がつけば、淀川を渡るタクシーの車内だった。
C級呑兵衛は途中合流だが、ボトルは3本は空いたらしい・・
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